前回、トークの話をしたので、今回もトークについて書きますが……もしかすると短い文章になってしまうかもしれません。
 なぜなら「ニュアンス」の話なので、言葉を尽くしても、うまく伝わらないかもしれないからです。

 何を書くかについても、私の頭の中に「ニュアンス」があるだけで、具体的なものはありません。だから「成り行き任せ」です。
 でも、本当に役に立つ、ものすごく重要なことを書くつもりです。

 かつて、コンサル塾の塾生と話していて、こんな感じの会話になったことがありました。



 「……ということは、『この保険の見直しができます』って言えばイイんですね?」
 「いや、それじゃダメでしょ。『見直しができます』じゃなくて、『この保険の悪い部分も良い部分もよくわかってますから』が入らないと、あなたの強みが生きないでしょ?」
 「そうですか。その後で『見直しましょう』ですね?」
 「いや、そうじゃなくて、『悪い部分を取って、正しいものに入れ替えればいい』でしょ?」
 「なるほど。それだけいきなり言えばイイんですね?」
 「それだけいきなりじゃないでしょ。『私はこの保険を実際に売っていましたから』がないと意味ないじゃん」
 「ということは、『私はこの保険を売っていたので』って言ってからですね?」
 「そうじゃないって。『私はこの保険を実際に売っていましたから』って、今、言ったじゃん」
 「で、『やりませんか?』って言うんですね?」
 「それも違うよ。『か?』で終わる言葉は禁句だってセミナーで言ったでしょ。『やりませんか?』じゃなくて『やります?』でしょ」
 「じゃあ、『どうですか? やります?』ですね?」
 「それも違うな〜。『どうですか?』も禁句でしょ。言うなら『どうです?』だけど、それはいらないよ」
 「ということは、『私はこの保険を実際に売っていましたから、商品の良い部分と悪い部分が……』」
 「違うって。『商品の』はいらないし、『悪い部分も良い部分も』だよ」
 「『商品の』って、入れちゃダメなんですか?」
 「入れない方がイイよね〜。だって向こうは『商品』だって思ってないから」……



 私が言いたいこと……わかります?
 プロレベルのトークというのは、『私はこの保険を実際に売っていましたから』と『私はこの保険を売っていたので』の言葉の違いがわかる……ということなのです。
 そういうレベルでの言葉の精査があってこそ、しっかりとアプローチトークをプレゼンテーションにつなげることができるし、プレゼンテーションを契約につなげることができるのです。

 上記の例は、状況説明がされていないから、「私はこの保険を実際に売っていましたから」と「私はこの保険を売っていたので」という言葉だけを比較しても、どちらが正しくてどちらが間違っているとは、読者のあなたには判断できないでしょうね。
 でも、「どういうレベルでの精査」が必要なのかの例をあげることは可能です。


◆語尾のほんの些細な変化

 「〇〇なんです」「〇〇なんですよ」「〇〇なんですよね」は、違います!

 どれを選択するべきかは、あなたと顧客との関係、アプローチなのかプレゼンテーションなのか、自分のキャラ、相手の性格等によって変わってきます。
 ただし、一般的には「〇〇です」「〇〇なんです」のように「言い切る語尾」が適切であるケースはほとんどありません……というレベルでトークを考えたこと、あなた、ありますか?
 1つの文章について、必ず1つの語尾がある。ということは、語尾だけでも、考えるべきことはたくさんあるのです。


◆「あの〜」「え〜」といった、台詞以外の、つい口から出てしまう言葉

 こうした言葉が「聞き手が気になるほど頻繁に出てしまう口癖」ならば直さなければなりませんが、つい口から出てしまっても問題がない場合と、成約率に影響を及ぼしてしまう場合があります。

 こういう箇所は、ロープレの書き起こし原稿を見ただけでは分からないから、指摘するのは結構大変なんですよ。
 でも、「言葉こそ商品」なのですから、こうしたレベルまで精査することが必要です。


◆「つなぎ」の言葉
 これは「些細な部分の」「精査」ではなく、ものすご〜く大切な、成約率に直結する要素です。

 「……で、次に……」
 「以上を踏まえた上で……」
 「……といった7つの問題があるワケです。で、この問題をすべて解消した設計が……」

 要するに、話が転換する際に使う言葉ですね。この言葉が適切でないと……売れません!

 さらに言うと、上記の例についても、「……といった7つの問題」と「これらの7つの問題」では違いますし、「問題があります」と「問題があるワケです」は違います。
 「ここまでの説明を踏まえた上で……」はダメですが、「ここまでの話を踏まえた上で……」はOKです。

 こういうレベルの話をしていますからね。


◆間合い、強さ、速度

 これこそ「文章では表現できないニュアンス」ですね。
 
 一般的には、「淡々と、同じペースで、語りかけるように」で契約が取れる人は「名人クラス」の技量の持ち主です。
 私は、マーケティングプランナー時代、会社で2番目にプレゼンテーションが上手いと言われていました。1番は私の師匠でしたが、その人は「淡々系」で「伝わるプレゼンテーション」をすることができました。
 分かりやすく言うと、森本レオ風のナレーションは、森本レオじゃないとできないのです。

 マーケティングプランナーの場合、「淡々系」をやってしまう人が多いのですが……それはかなり難しい。
 保険営業の場合はなおさらで、「淡々系」で契約を取るのは「至難の技」なのです。

 そもそも、相手は素人なのですから、難しいことを言っても理解できませんし、どこが要点なのかも分かりません。だからこそ、「間合い」や「強さ」や「速度」に変化をつけて、伝えたい箇所を相手にしっかりと伝えることが必要になります。

 要するに、まったく同じ台本を喋っても、売れる人と売れない人がいるということなのですよ。
 「なぜかあいさつだけで売れてしまう営業法」の著者の木戸一敏さんは、学習用教材の訪問販売をしていた頃に、トップクラスの代理店主であった社長のトークを録音し、暗記して、一言一句違えずに喋れるようになったそうです。
 でも、その結果は……「1件も売れませんでした!」とセミナーで言っていました。

 そういうものなのですから、「間合い」や「強さ」や「速度」についても、「プロレベルでの精査」が必要なのです。


◆プロレベルのトークの構築のために

 ニュアンスだらけの文章なので、分かりにくかったでしょうが、「プロレベルの言葉の精査」とは「どんなレベルなのか」を感じることはできたと思います。

 とにかく、受講生と話をしていても、「言葉が甘いんだよな〜」と感じざるを得ません。重要なことなので何度でも言いますが、「言葉こそが商品」なのですから、それが「甘い」ということは、「あんまり売れない」になってしまいます。
 
 言葉を選び、精査するために必要なことは、「正しい顧客第一」しかありません。「この言葉を発したら、目の前の顧客はどう感じるか?」をありありと想像し、感じようとすることなしに、言葉を選んではいけないのです。


 だから、会社が教える「果てしなく売れないトーク」をそのまま使っちゃうなんてのは論外ですよ。顧客は間違いなく「強い違和感」を感じますからね。そんなトークを、精査どころか「何も考えずに」使ってしまう人が大半だから、その結果として、93%の生保セールスが廃業に至ってしまうのです。

 特に「保険屋言葉」には注意してくださいね。
 私は常に「顧客がどう感じるか」を「感じよう」としていましたから、「プラン」という何気ない言葉が「禁句」であることに気づくことができました。

 「プラン」ですら禁句なのですから、「保険屋しか使わない保険屋言葉」などはもってのほかです。でも、そういう言葉って、業界に身を置いていると、ついつい「普通だと思って」使ってしまうものですよね。

 ちなみに、ソニー時代に、後に16年連続最優秀営業所となった営業所にいた私は、6年半の間、「契約をお預かりする」という言葉を聞いたことがありませんでした。
 ソニーを卒業して、セミナー講師をやるようになってから、初めて「お預かりする」という言葉を聞いて、「キモ!」と感じましたが……これってまさに、保険屋視点の、保険屋しか使わない、究極の「保険屋言葉」でしょ?
 そういう言葉を使わない営業所だからこそ、日本で一番売れていたのですよ!


 とにかく、プロレベルのトークを構築したいのなら、「顧客が使わない言葉」は一切使ってはいけません。ライフプラン、ファクトファインディング、キャッシュフローといった言葉はもちろんのこと、「夢」「ご家族への愛情」「使命」なんて、普通の人は口にしませんよ。そういうことをしっかり」感じられる」ようにならないと、プロとして食っては行けません。

 ということで、あなたもこの文章で私が伝えたかったニュアンスを「感じよう」としてください。


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