「EXP」は、もちろん「エキスパート」。
 エキスパートになるためのトークレッスンです。
 日々の作業と収入に直結するコーナーです。



 第一次トランプ政権になった頃、「トランプさんだよ?」という「一瞬の世間話的トーク」で2〜3件の契約を取ったことがありました。

 それを2人の受講生に伝えたんだよね〜。
 そうしたら「それ、イイですね!」と言ったのに、後日「どうだった?」と聞いたら「使ったけれども上手く行きませんでした……」という返事が返って来ました。
 で、やらせてみたら……「ああ、なるほどね〜」と思いました。
 だって、下手なんだもん(笑)。

 上手く行かなかったのは、言葉やアイデアが悪いのではなくて、練習不足、シミュレーション不足なのです。
 シミュレーションの数が全然足りていないから、場面想定が甘いし少ないし、言葉が自分のものになっていない。
 だから、相手から思わぬ反応をされるとアタフタしちゃって、ド素人状態に陥ってしまうのです。

 ということで今回は、2人の受講生の喋りを聞いて感じた、とっても大切だけど多くの生保セールスが明確に認識できていないこと……セミナーでは「話の内容よりも、順番が大切」と言っていますが、この「順番」が具体的にどのようなものなのかについて書いてみます。


 私たちはプロですから、エキスパートなトークで、素人である顧客を、契約というゴールに向かって「誘導」しなければなりません。
 相手の反応に合わせてアタフタしちゃうなんてのは、初めて合コンに参加した小僧と同じレベルです。

 そして、プレゼンテーションの台本は、「説明」ではなく「役者のセリフ」です。
 エンディング(=契約)に向けて、適切な言葉が適切な箇所に配置された、精緻なストーリーでなければなりません。
 それはまさに、プロの脚本家が書く脚本と同等レベルであることが必要です。
 そりゃそうでしょ?
 私たちはプロなのだから。

 ストーリーであり、脚本なのですから、順番が適切でないと、話がめちゃくちゃになってしまいます。
 でも「順番なのだ」ということを明確に認識できている人って、滅多にいないし、会社や指導者は「順番だ」とは言わないでしょ?
 そういうことをわかっていない人が、偉そうにロープレの指導なんかをしているのだから……笑っちゃいます。
 幼稚園のお遊戯レベルなのです。
 幼稚園児ならかわいいけれども、おっさんおばはんがやってもキモいだけ(笑)。

 で、いきなり結論をわかりやすく言ってしまうと、話の順番は「起・承・転・結」なのです。
 起承転結……って、わかりますよね。
 ストーリーは「起承転結」。
 だから、プレゼンテーションの台本も、明確に「起承転結」で構成することによって、聞き手を結論まで誘導できるのです。

 どういう流れになるのかを「見直しフルコンサル提案」のケースで、単純化して提示しましょう。


<1>起承転結の「起」(3分)

 「では、早速始めさせていただきます(深々と7秒間お辞儀の儀式)」に続く「起」のブロックは、3つの保険と必要保障額の話になります。

 「起」のブロックでは、聞き手の心を刺激しなければなりません。刺激して、ストーリーに入り込ませるのです。
 刺激すると言っても、衝撃的な内容を盛り込む必要はありません。
 必要なのは、徹底した「わかりやすさ」です。
 「保険の話は難しいと思っていたけれども、この人の話はものすごくわかりやすい」と思わせることで「聞く気」が醸成されます。

 専門用語は厳禁ですし、高度障害とか払済といった、顧客が何の興味も抱かない事項についても、一切触れてはいけません。
 必要保障額についても、「あなたの場合は」といった「ケーススタディ」や、細かい数字の提示は禁止です。顧客の属性に応じた一般論を語るのみ。

 とにかく、徹底した「単純化」と「わかりやすさ」で、顧客に「なるほどね!」と感じさせます。


<2>起承転結の「承」(8分)

 「承」ですから、ブロックの最初の言葉は「以上を踏まえた上で……」になります。

 とにかく「流れ」ですよ。ほとんどの人のプレゼンテーションは、「流れ」が少しも感じられません。
 目の前の顧客を契約に誘導する……ベルトコンベアに乗せる……まさに「流れ」なのです。
 前の言葉があるから次の言葉があり、前のブロックがあるから、次のブロックがある。

 最悪なのは「並列」で語ってしまうこと。
 具体的な言葉で言うと、「あと、〇〇ですね。……あと、△△ですね」というやつ。
 〇〇と△△の順番が前後しても変わらない台本は、台本とは言えません。
 台本ならば、〇〇の次のセリフが△△で、その次が□□という「必然性」があるのです。

 このブロックは、見直し提案の場合は「現状分析」。
 「以上を踏まえた上で、現在契約中の保険を図にしてきましたので、ご覧下さい」になります。
 現在の契約を、専門用語なしでドライに数字で伝えた上で「問題点は7つあります(大抵、6〜8になる)。1つずつ解説します。イチ、支払い総額。……」と進めます。

 この辺の詳細は、拙著「生命保険の正しい見直し方」をご参照下さい。


<3>起承転結の「転」(3分)

 「以上の7つの問題点をすべて解消したものがこちらです(図を出して、現在の契約の図と少し上下にずらして置く)」から始まる、具体的な「提案」です。

 冒頭のセリフは、きちんと前のブロックを受けていますよね。これが「流れ」。
 ここでも専門用語は禁句ですし、提案内容を「プラン」と言ってはいけませんよ。「プラン」は禁句です。常に「この設計は」と言いましょう。

 そして提案内容の提示。
 提案内容の「説明」には違いないのですが、説明口調になってはいけませんし、何より顧客に「説明」だと感じさせるようなセリフになってはいけません。
 「すっげ〜わかりやすい! え、もう終わっちゃったの?」と感じさせることが、「流れ」をさらに加速させます。
 
 そして、このブロックの最後に「唯一のクロージングのチャンス」がやってきます。
 「起承転結」の「結」に向けて、見直しの実行で得られる効果(削減できる無駄な保険料の額)と、「あなたは今、どうすべきか」をきっちりと「指示」します。

 そして「サッサと帰る」演技を、役者として見事に行って、素晴らしいエンディングを迎えます。


<4>起承転結の「結」

 ここまでの3つのブロックが、生保セールスであるあなたが行うことです。
 だから、「プレゼンテーションは3ブロック」なのです。

 「結」のブロックは、あなたではなく、目の前の顧客が行います。
 「素晴らしい、感動しました! 今すぐ契約させて下さい!」と顧客が言うのを喜び、契約作業の日程を決めます。
 もちろん、即座に契約日程を決めるためのセリフも、しっかりと準備しておいて下さいね。

 以上が、見直し提案の際の「起承転結」ですが、これは、3分程度で終わってしまう「貯蓄売り」の場合でも、すぐには決まらないケースが大半の法人に対する提案でも変わりません。

 すべての場合において、「〇〇だからこう、それを踏まえて△△だからこう、それを踏まえて□□だからこう」→「素晴らしい! 感動しました! 今すぐ契約させて下さい」という「結」に至ります。

 冒頭に書いた「トランプさんですよ?」の例も、3分以内で終わってしまう短いトークですが、きちんと起承転結になっています。


●【起】のブロック

〜〜〜〜〜〜
 「オレ、テレビも新聞も見ないからよくわかんないんだけど……トランプさんって、もう大統領になったの?」
 「今日就任したんですよ〜。今日から大統領ですよ〜。三洞さん、新聞も読まないんですか?」
 「読まないよ。弟の店でスポーツ新聞は見るけどね」
 「それで、本書いたりセミナーできるんですね〜。会社の上司が『日経読め』っていつも言うけど……」
 「日経読んでで金持ちになれるんだったら、サラリーマンなんかやってネ〜っつ〜の」
 「アハハハ、確かにそうですね〜」
〜〜〜〜〜〜

 ここは冒頭ですから「以上を踏まえた上で……」に相当する部分はありませんが、トランプさん就任の日にやっていますので、店主と客の会話としては、不自然な感じはまったくありません。
 しかも、酒を飲みながらの実際の会話ですから、「流れ」にも不自然さは感じられません。

 トランプさん就任の日ではない場合……例えば今だったら、「ねえねえ、トランプさん、歓迎派? オレ、大歓迎派なんだよね〜」とか、「東京マラソンに、トランプヘアーを冠った人、すっげ〜居たよね」とか、相手が女性だったら、「しつも〜〜ん。トランプさんみたいなおっさん、好き?」でも行けるでしょう。必ず反応が返って来るでしょうから。

 こういうシミュレーションの数が、成否に直結するのです。


●【承】のブロック

〜〜〜〜〜〜
 「でもさ、トランプさんが大統領になったのに、まさか円で貯金なんかしてないよね?」
 「え?……全部円ですけど、マズいんですか〜」
 「そりゃマズいに決まってるよ〜! だって、トランプさんだよ! トランプさんが『ドルを強くする』って、あの怖い顔で真っ赤になって怒鳴って宣言したんだよ〜。それなのに円で貯金するなんてのは……トランプさんに喧嘩売ってるようなもんじゃん!」
 「……ですよね〜」
〜〜〜〜〜〜

 「流れ」を作る「以上を踏まえて」の冒頭部分に下線を入れておきました。
 下線部分も、読んでしまえば簡単に喋れる言葉ですが(しかも短い!)、「どう言ったら引かれない? どう言ったら興味を持つ? どう言ったら心が動く?」をしっかりと考えた上での言葉です。
 「ほぼ類似」の言葉もたくさん用意して、シャドーロープレを繰り返した上で、喋っています。


●【転】のブロック

〜〜〜〜〜〜
 「ドルに変える? オレもこの前、一部をドルに変えたけど、利息が日本の財形の40倍だったよ」
 「え〜っ、そんなに違うんですか〜! 変えます〜」
 「財形やってんの〜? いくら〜? 今貯まってる分は円で置いといて、これからドルに変えればイイんだよ〜。そうすりゃリスクもないしね〜。月5万円?」
 「そんなやってないですよ〜。3万円です〜」
 「じゃ、3万円でやる〜?」
〜〜〜〜〜〜

 「ドルに変える?」……まさに「見直し提案」だし、「転」ですよね。

 それに続く言葉も、精査の上で決めたし、「財形やってんの?」も、「今貯まってる分は円で置いといて」も、何気ない言葉のように見えて、場当たり的ではなく、今後も使えるような言葉として選んだものです。


●【結】のブロック

〜〜〜〜〜〜
 「やります〜!」
〜〜〜〜〜〜

 はい、契約です!
 一丁上がり!です。
 所要時間3分、ACは30万円。時給換算すると、かなりの高額所得になります。

 ただし、準備(シミュレーション)には、3分どころか3時間くらい掛けていますから……まあ、順当な収入でしょうね。

 でも、このトークは、バリエーションによってあと4年くらいは使えますから、以降の時給はどんどん上がることになるでしょう。
 これが「戦略型セールス」の姿です。「活動量型」とは、あまりにも違います。


 最後に「起承転結」の大切さを伝える一文を、師匠のマイケル・マスターソンの「大富豪の仕事術」から引用します。

〜〜〜〜〜〜
 雄弁家として有名だったエドワード・エヴェレットが、ゲティスバーグでリンカーンに先立って演説した時、彼は2時間以上も話し続け、詩や懇願の言葉をふんだんに盛り込みながら響き渡る声で越弁をふるった。
 続いて登場したリンカーンは、中身が凝縮された名演説を披露した。ほんの2分で戦争の意味とその日の意味を伝えたのである。
 後日、エヴェレットは礼儀正しくリンカーンにこう書き送った。
 「この機会が持つ大きな意味を、あなたが2分でそうしたように、私が2時間で少しでも伝えられたならよいのですが」
〜〜〜〜〜〜

 言葉の数を増やすことは、聴衆(顧客)にとって歓迎すべきことではありません。
 その日のゲティスバーグの気候や気温がどうだったか……たとえ過ごしやすい日だったとしても、2時間の話より、凝縮された2分の話をする人の方が好かれます。
 だから大統領になれるのですよ。


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